一人親方の定義
労災保険は、元々労働者に適応し、労働者は、不慮の事故などの折、この保険にて保護されてきました。しかし、一人親方という働き方をしている人は、労働者とは見られずに自営業という捉え方をされてきて、こうした人が事故などを起こし、働けなくなるケースが生じても労災保険は適応されませんでした。
そもそも、この一人親方とは、建設業などで労働者を雇用せずに自分自身と家族などだけで事業を行う事業主のことで、一人親方は、親方のひとつ手前の段階だそうです。独立はしても自身の職人はまだ抱えていないという状況を言います。
にもかかわらず、その仕事内容は労働者とさして変わらず、建築業、大工職、とび職、あるいは植木職人など、危険と隣り合わせの仕事に従事している人も多い実態がありました。
そこで、業務の実情ならびに災害の発生状況などをかんがみ、こうした一人親方も労働者に準じて保護することが適当ではないかという論議が生まれ、こうした声を背景に一人親方労災保険・特別任意加入制度が適応されることになりました。
これは、一人親方が団体を作り労災保険に特別加入するという形を取ります。これが、労災保険特別加入制度です。特別任意加入制度において、その対象となるのは、労働者を使用しないで事業を行うことを常態とする一人親方その他の自営業者およびその事業に従事する人ということになります。
その具体的職業は、以下のとおりです。
厚生労働省のパンフレットによれば、
①自動車を使用して行う旅客または貨物の運送の事業
(個人タクシー業者や個人貨物運送業者など)
②土木、建築建設、改造、保存、修理、変更、解体またはその準備の事業
(大工、左官、とび職人など)
⑥再生利用の目的となる廃棄物などの収集、運搬、選別、解体などの事業
などに適応されることになりました。
こうした土木業における親方制度という徒弟制度は、日本独特の制度で、その歴史にも由来しているのでしょう。それは、日本の家の工法などと密接に関わっているのかもしれません。大工さんがいて、左官屋さんがいて、瓦屋さんもいて、内装の人もいて、それぞれ独特の請負方で仕事をしてきました。
明治時代からの働き方が、今なお、生きている現実を一人親方労災保険が教えてくれています。
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